日程 | 【2泊3日】2020年9月20日(日)~22日(火) |
メンバー | 【単独行】ぬこはち |
天候 | 晴れ |
アクセス | 利用交通機関 新幹線&バスさいたま方面から新幹線で来ると、一番早くて扇沢に10:00着。 |
2020年9月20日(日)から2泊3日で再び立山へやってまいりました。8月に子連れで立山へ来た時は悪天候のため雷鳥沢で停滞してそのまま撤退しましたが、今回は晴天に恵まれました。ただしこの連休中の人出はすごかったです。立山三山【立山(雄山・大汝山・富士の折立)・真砂岳・別山】を前回歩いたのは21歳の時なので24年ぶりの訪問。
地図・ルート・標高グラフ・移動ペース
歩行距離:17.4km
累積標高:1,125m(登り)、1,138m(下り)
歩行時間:7時間16分
休憩時間:1時間27分
グレード:
コース定数:30.1(3日間)
コース定数の目安●10前後:体力的にやさしく初心者向き ●20前後:一般的な登山者向き ●30前後:日帰り登山の場合、健脚者向き ●40以上:日帰りでは困難。1泊以上の計画が必要。
この記録の行程とコースタイム
- 1日目
- 行動
- 55分
- 休憩
- 0分
- 合計
- 55分
- 2日目
- 行動
- 5時間20分
- 休憩
- 1時間27分
- 合計
- 6時間47分
- 3日目
- 行動
- 1時間1分
- 休憩
- 0分
- 合計
- 1時間1分
扇沢から黒部アルペンルートで室堂へ向かう
大宮駅06:42発の北陸新幹線かがやき501号に乗ると、56分で長野駅07:38着。早いな~。長野駅東口から08:15発の扇沢行き特急バスに乗って10:00扇沢着。新幹線は空席が目立っていましたが、バスは満席でした。
扇沢駅前でバスを降りると人だらけ。8月と全然違う状況だ~。手前の駐車場前には車の列が出来ていたが、バスは追い越すようにして通過。
切符を買うための行列は2回折り返しがあった。11:30頃にようやく14:30発?の切符を買えたものの、それまでこの辺で3時間待たねばならぬ。暇つぶしがつらいんですよね。
昼食は2Fの食堂で名物ダムカレー。8月にここへ来た時も下山時に食べた。さすがに14時くらいになると切符購入の行列は消滅。
14:30扇沢駅発の電気バスに揺られて15分ほどで黒部ダムに到着。ダムの堰堤はさっさと早足で通り過ぎてケーブルカーへ向かう。
寄り道せず、ロープウェイやケーブルカーの臨時便をうまく乗り継ぐことができた。
1日目:室堂~雷鳥沢キャンプ場
[15:30]大宮を出てから9時間後、ようやく室堂に到着。9月20日の日の入り時刻は17:51なので1時間後に雷鳥沢キャンプ場に着いたらすぐ暗くなってしまう。いそげ~?
みくりが池に映る立山の三つのピーク。右の鞍部(コル)が明日の朝に向かう一ノ越。
地獄谷の向こうに連なる大日三山。
雷鳥荘の前から見下ろせる雷鳥沢キャンプ場。なんとテントが…びっしりと埋まっているじゃまいか!
9月20日16時過ぎの雷鳥沢キャンプ場はすでにテントで埋まっていました。上から見ると明らかに収容能力オーバーしちゃってますね。
雷鳥沢キャンプ場が激混み
— Ryoubi TARUTARU (@tryouichi) September 20, 2020
トイレ行くのも行列です pic.twitter.com/LbghzFIVkZ
暗くなってからの方が行列はすごかった。
[16:25]雷鳥沢キャンプ場に着き、急いでテント設営。上から見るとびっちり埋まっていたテン場も、実際に来てみるとまだ若干の隙間が残っていた。ご飯の用意をしていると向かい側の斜面が赤く染まるアーベントロートのごちそう。
初日の夕食は麻婆茄子とフリーズドライの五目御飯。にんじん、茄子、ピーマンを丸のまま1個ずつ持ってきたので、ここでナイフでカット。野菜を炒めるっつーのに油を忘れた!
冷凍して持ってきたひき肉100gはすでに溶けていた。とりあえず野菜を置いといて、ひき肉を先にじゅー。
肉の脂で何とか野菜を炒められたので、麻婆茄子のソースをかけて完成~。山で肉を食べると美味いな~。
[17:40]周囲から歓声が上がったので、西の方を見ると太陽が稜線の向こうに沈んだ後だった。ちなみにふもとの富山市の日没時刻は17:51。
近くのテントの人が延々と携帯で通話をしていたが、21時過ぎに周囲の人に怒鳴られてやめてくれた。山では朝3時起きの人もいるので、20時頃には静かにして寝た方がいいです。自分はいつもこうした騒音対策に耳栓を持参する。山小屋泊だとイビキ対策に耳栓は必須。
【2日目】雷鳥沢キャンプ場~雄山
5時前には起床し、準備開始。今日の朝ごはんは餅入り塩ラーメン。炭水化物盛り盛りである。汁を餅に吸われた。
[6:30]今回のようにベースキャンプから周回するコースを取る場合は、サブザックに必要最低限の装備(雨具・非常食・行動食のパン・ポカリスエット1L・ヘッドライト・ダウンジャケット・エマージェンシーシート・救急セット・GPS・コンパス・地図)だけを持って出発。荷物が軽いと楽ちんだ。
まずは下の沢を渡る。上流の方を渡って近道することも出来なくはないが、とりあえずこの橋を渡る記録をGPSのログに残しておく。
この道標が賽の河原にある大走りへの分岐。真砂岳方面が大走りで、「室堂ターミナル(登山道経由 夏季のみ)」がこれから向かう一ノ越方面になります。一ノ越に登る手前に迂回ルートへの分岐があり、そのルートを使うと室堂まで2.8km。これは地獄谷の火山性ガス濃度が上昇して雷鳥荘~ミクリガ池方面のルートを取れなくなった時用の迂回路ですね。
雷鳥沢キャンプ場から賽の河原経由で一ノ越へ直行するこの登山道はマイナーなルートなのかと思いきや、結構多くの登山者が先行していた。中央左の小山は氷河が削った土砂が堆積したモレーンかな?正面の山が浄土山(2,831m)。
賽の河原にある地蔵を保護しているシェルター。かつては数多くの地蔵が周辺にあったらしいが、おそらく雪に流されて埋まったものも多いのではないかと思われる。
この地蔵シェルターは佐伯幾夫氏による建立。46年前か…。
ここが迂回コースへの分岐で、右の階段を辿ると室堂へ戻る。
[7:30]途中にあった「ボッカミチ」の分岐。
なんとなく見えるボッカ道の踏み跡。このルートを使うと、富士ノ折立と真砂岳間の鞍部を越えて内蔵助小屋へ最短距離でいけるようです。
【参考】ボッカミチを利用した山行記録(2010年)を見つけた→ http://yamaaruki.webcrow.jp/nissi2010/fujinooritate100827/100827.html
(古いサイトでしたが、2022年3月31日付けでレンタルサーバーごと消滅してしまいました。)
カールの反対側に見える、室堂から一ノ越へ上がる石畳のルートが徐々に近づいてくる。
室堂の向こうに見える大日三山と、右下の雷鳥沢キャンプ場。
[7:45]室堂から直接一ノ越へ登るメインルートへの合流地点に到着。ここは石仏が目印。
[7:53]一の越山荘に到着。小屋の向かい側にトイレもあり。
ベンチがあるので座って北アルプス本体の眺めを楽しめる。中央右寄り奥の方の尖った山頂が槍ヶ岳。
ちょっと登った所から振り返った一の越山荘と龍王岳(2,872m)。
室堂の箱庭の様な眺めはいくら眺めても全然飽きない。
途中にあった祠。
一ノ越から雄山への登り下りは矢印が赤と黄色で色分けされているようだ。登りが赤。ナツヤマシーズン中は人が多くて渋滞するからでしょうね。
そっちの方に踏み跡があった。行かなかったけど。下方のカールに見える登山道は、一ノ越から立山ロープウェイの黒部平駅経由で黒部湖畔のロッジくろよんに下りられるルート。トレランの人が走って下っているのが見えた。
岩場の急登を終えると肩に出るので、雄山山頂まであと一息。
[9:00]2時間半で立山の雄山山頂の三角点に到着。ここは割と広いので眺めを楽しみながら休憩するのによし。
雄山山頂の社務所脇から見た室堂。富山平野や日本海は残念ながらずっと雲の下のまま。
雄山神社の社の方が三角点よりも標高が9mほど高い。
後立山連峰、長野方面は雲が多くなってきた。中央左の尖った山が鹿島槍ヶ岳、その左が五竜岳。さらにその左の山が唐松岳のはず。
雄山~大汝山~富士の折立
立山雄山神社本宮はこの右手に。大汝山方面への縦走路はここの左手から入る。
鎖がかけてある鳥居をくぐって山頂へ。夏山期間中(7月1日~9月30日)は山頂の社に神主がいて、500円払うとお祓いを受けられるが、今年は8月17日に閉鎖してしまったようだ。今回、登頂やお参りは無料で自由に出来ました。
【参考リンク】立山山頂・雄山神社峰本社 閉山しました
雄山山頂(3,003m)からの室堂の眺め。富山市方面の雲が若干少なくなった。しかし日本海はなかなか見えない。
社務所兼休憩所の方を見下ろす。社務所の建物の左奥に見えるなだらかな高地が、雲上の楽園と呼ばれる五色ヶ原。いまだに自分が訪れたことの無いエリアだ。
雄山山頂から北に目を向けると鎮座しているのが富山県最高峰の大汝山(3,015m)。今日はさらにその先の真っ白な稜線をたどります。左奥の岩山が剱岳(2,999m)。
[9:15]雄山山頂を出発。日本三霊山とは富士山、白山、そしてこの立山を指すそうだ。この石柱には海抜一万尺とも記されていて、一万尺をメートルに換算すると約3,030mになる(1尺=0.303m)。というわけで、アルプス一万尺は標高3,000mちょいの山の事ですね。ちなみにアルペン踊りの「小槍」は槍ヶ岳の隣にあります。
雄山山頂から縦走路へ入り、振り返ったところ。縦走路は鳥居の手前から左の方へ下りてこの岩峰をトラバースする感じで始まる。
こんな感じの岩壁を眺めるのは大好き。立山(雄山~大汝山~富士の折立)の登山道自体はアップダウンも無く、眺めを楽しみながら歩ける。
大汝山山頂の基部から見上げる。
[9:30]大汝山山頂に到着。久しぶりの3000m超え記念。ここは5,6人が立てるくらいの広さで、立山の最高地点。
山頂直下には雷鳥荘直営の大汝休憩所がある。2020年は雄山神社と同じく8月16日付けで営業を終了した模様。窓も出入口も塞がれていた。
次は立山の3つ目のピーク、富士の折立へ向かいます。
[10:10]富士ノ折立の山頂にある岩は狭くて2,3人が立てるくらいだっけ?。こちらの方が岩登り要素が強い。
真砂岳と別山
立山の3つのピークを後にして、一気に高度を下げて真砂岳へ向かいます。富士の折立と真砂岳間の鞍部(コル)にボッカ道の踏み跡が左下からつながっているのが上からだとよく見えますね。右のカールへ下りると右上に見える赤い屋根の内蔵助小屋へ通じる登山道へ入れる。大走りへの分岐はこの鞍部ではなく、真砂岳山頂へ向かって少し登った所にある。
これが内蔵助カールの雪渓で、1999年の調査で永久凍土が発見され、2018年にはこれが氷河であると認定された。
鞍部から見た室堂方面。中央右の雷鳥沢キャンプ場のテントが少なくなってガラガラになってますな。
[10:30]富士の折立(2,999m)から約200m下りてきたので後ろを振り返ったところ。右奥の尖ったピークが雄山(3,003m)なので、歩いてきた稜線がよく見える。
鞍部から60mくらい上がると大走りへの分岐が左に現れる。写真の右端の人が歩いている所が大走りへの分岐ルート。悪天候時や疲れている時はここから雷鳥沢キャンプ場へ下ることができる。そしてこの辺りが1989年10月8日に発生した立山中高年大量遭難事故の現場ですね。猛吹雪で動きの取れなくなった10人のパーティーの内、8人が低体温症で亡くなった事故で、概要や当時の気象状況についてこちらに詳しく書かれています。興味のある方はyamakei-online.comの記事でどうぞ。
真砂岳は2つピークがあり、2,860mのピークを過ぎると大走りへの分岐が左から合流してくる。そしてすぐに2,861mのピークに到着。
[10:50]周囲の眺めを遮るものは何もない。立山三山の二つ目、真砂岳(2,861m)に到着。
首の落ちた石仏。周りの岩の間を探ると古銭が出てくるかも?
この地形をジオラマで作ってみたいと、ふと思った。左側から沢に向かってジグザグに付けられた登山道が大走り。
真砂岳から130mほどいったん下り、標高2,750mの鞍部から立山三山のラスト、別山(2,880m)への登りに入ります。先の見えない登りは疲れますが、自分がこれから歩くルートが見えていると楽しくて特に疲れが出ないですね。
別山の西に繋がる稜線。左端のピークを過ぎると剱御前小屋経由で雷鳥沢への下りになる。右の斜面に見える踏み跡が別山山頂を巻くトラバース道。
ここが別山山頂の巻道入口。私は普通に別山山頂を目指します。
[11:40]別山の広い山頂に到着。ここから剱岳(2,999m)を眼前に拝むことが出来るはずですが、この時はすでに雲が上がってきていて、剱岳の山頂がチラチラ見える程度でした。15分程度ねばってみたけど駄目でしたね。
別山から雷鳥沢キャンプ場へ戻る
別山を後にして剱御前小屋へ向かう。小屋が中央の稜線の鞍部にチラッと見えます。
立山の方を振り返ると急に雲が多くなってきた。
今回の立山三山縦走最後の登り。このピークを過ぎると雷鳥沢キャンプ場まで一気に下りまーす。
右の方に剱が見えるはずですが、残念ながらずっと雲の中。この斜面に付いている登山道は剱山荘へ繋がる。
剱御前小屋のすぐ上からの眺め。左側が雷鳥沢キャンプ場へのルート。
写真の左側が剱沢方面への分岐。右の石段が別山から下ってきたルート。
[12:25]剱御前小屋の前では多くの登山者が休憩中でした。入口右側の売店で何か買う際はマスク着用とのこと。10分くらい休憩してから雷鳥沢キャンプ場への標高差500mを一気に下ります。
かなり足早にテン場と同じ高さまで下ってきた。自分のテントが残ってて良かった~。いや~、テントや装備の盗難が相次いでいるそうなので。
[13:20]剱御前小屋から1時間程度でテントへ戻ってきてほっと一息。歩いてきた立山の3つのピークがよく見える。14時過ぎにロッジ立山連峰のお風呂へ汗を流しに行く。入浴料は1人700円。
まだ日が高いですが、今日の夕食はフリーズドライのご飯とレトルトうなぎを使ったうな丼。まずお湯を沸かしてご飯を戻し、待っている間にうなぎをパックのまま湯煎する。
ごはんをコッヘルによそい、うなぎをまな板でカットして乗せて完成でーす!山椒も持ってきた(笑)。目の前の雄大な景色を眺めながら食べるうな丼は最高ですね。
その後も腹減ってしょうがなかったので、カレーメシ。カップに入ったままだとかさばるので、使用済みのフリーズドライご飯の袋に入れて持ってきたら成功だった。カップラーメン以外の選択肢の一つに昇格。
夕方になるとやはりテントが増えてきたものの、昨日ほどではない。トイレ前の行列も大したことなし。
管理棟から見て右側も割とスカスカ。
昨日のあれだけすごかったトイレ行列が今日は全く無い。
管理棟前の様子。
やうやう暮れゆく山の端、いとあわれなり。
寝る前にトイレへいった時に撮った雷鳥沢テン場の様子。私のカメラだとこんな感じですが、実際は星空も見えて、もっと幻想的な夜景でした。
【3日目】扇沢へ下山
[5:50]朝日は真砂岳の辺りから昇ってきた。朝食は普通のフリーズドライのリゾット。
結構たくさんの人が室堂に向け出発しています。自分も8時過ぎにはテントの底を乾かし終えてパッキング完了。
雷鳥沢キャンプ場の上に見えるジグザグの登山道が剱御前小屋へ繋がるルート。
地獄谷と向こうに見える富山市方面。
みくりが池と立山と真砂岳。ボッカミチがあの斜面のどこかについている。
雷鳥沢キャンプ場から1時間ちょいで室堂ターミナルに戻ってきた。
扇沢の駐車場は一杯のまま。この有料駐車場に止めるのは日帰りの観光客が主だろうけど。
扇沢駅前で長野駅行きのバスを待つ。シルバーウィークの最終日はあの初日の混雑が嘘のような静かさでした。
長野駅構内で高いのか安いのかよく分からないシャインマスカットをお土産に購入。
午後の早い時間帯の北陸新幹線はガラガラでした。あっという間に大宮駅に到着~。お疲れ山。
この山行を動画で振り返る
Relive ‘2020/09/20 立山三山縦走’